はじめに
鳥取県といえば「鳥取砂丘」、島根県といえば縁結びの神様「出雲大社」。
そんなイメージを持つ方が多いのではないでしょうか?
でも実はこの山陰地方、魅力的な器が生まれる、窯元の宝庫でもあるんです。
特に、鳥取県・島根県には、普段の食卓にすっと馴染むような、“日常使い”にぴったりな焼き物を作る窯元が点在しています。
民芸のぬくもりが感じられる器たちは、日々の暮らしをそっと豊かにしてくれます。
今回は、そんな中からおすすめの3つの窯元をご紹介します。
あなたの「お気に入りの器」が、きっと見つかるはずです。
おすすめ3選
湯町窯【島根県松江市】| 心温まるスリップウェアと出会える窯元

玉造温泉のすぐそばにある【湯町窯】は、「布志名焼」の流れをくむ歴史ある窯元です。
特に有名なのが、コロンとした形が愛らしい「エッグベーカー」。
黄釉(きぐすり)という独特の釉薬を使った、飴色の器が代表的です。
器には、化粧土を入れたスポイトで、ひとつひとつ模様が描かれています。
スリップウェアと呼ばれる装飾技法です。
店内にはお皿やカップがずらり。
ひとつとして同じ表情のものがなく、器との出会いはまるで宝探しのようです。
[アクセス情報]
〒699-0202 松江市玉湯町湯町965(JR玉造温泉駅から徒歩1分)
TEL: 0852-62-0726
営業時間: 平日8時~17時/土日祝 9時~17時
定休日: 12月31日、1月1日〜2日(この間は要予約)
駐車場あり
国造焼【鳥取県倉吉市】| 白の表情が豊かな、優しい雰囲気の器

食材を引き立てる白にこだわって作られた、線紋の器と飛鉋(とびかんな)の器。
線紋の器は、星座のように茶色の下地が見えて可愛らしく。
飛鉋の器は、白い釉薬の下に飛鉋で作られた模様が透けて見え、さりげなくおしゃれです。
どちらも、シンプルな白を基調としながら表情があり、ふんわりと優しい印象です。
使うほどに貫入(かんにゅう)が入り、表情が変わっていくのも楽しみのひとつ。
カップだけでもコーヒー、マグ、ティー、エスプレッソと種類が豊富で、思わず揃えたくなります。
窯に併設されたショールームもあります。
線紋と白飛鉋の器は、倉吉市内にあるセレクトショップ「cocorostore」の方が品揃えが豊富です。
[アクセス情報]
〒682-0915
鳥取県倉吉市不入岡390
TEL/FAX: 0858-22-8388
営業時間: 10時~17時(不定休/訪問時は要連絡)
岩井窯【鳥取県岩美町】| 大胆でありながら暮らしに馴染む

大胆な柄としっかりとした厚みが特徴で、存在感のある器です。
「かき落とし」という技法で作り出される、白い牡丹柄のお皿。
「象嵌」という技法で生み出される、結び模様のお皿。
いずれも器いっぱいに、大胆に模様がデザインされています。
一見、個性が強そうにみえますが、意外なほどどんな料理にも馴染みます。
敷地内には展示館・参考館・カフェも併設されています。
岩井窯の作品でお料理などがいただけます。
[アクセス情報]
〒681-0025
鳥取県岩美郡岩美町宇治134-1(JR岩美駅から車で約7分)
TEL : 0857-73-0339/FAX 0857-73-0356
開館時間:10時〜16時
定休日:月・火(祝祭日は開館)
番外編 | 窯元の器に出会えるショップ情報
cocorostore
倉吉の観光スポット白壁土蔵群の一角にある、鳥取県や近県の民工芸品を取り扱うセレクトショップ。
[アクセス情報]
〒682-0821
鳥取県倉吉市魚町2516番地
TEL/FAX: 0858-22-3526
営業時間: 10時〜17時
定休日: 月、火(週によって日曜休み)
専用駐車場なし/観光駐車場利用
鳥取たくみ工芸店
JR鳥取駅から徒歩5分ほど、鳥取民藝美術館の隣にある民芸専門店。
随時、窯元等の展示即売会が行われています。
最新情報をインスタグラムで要チェック。
[アクセス情報]
〒680-0831
鳥取市栄町651
TEL:0857-26-2367(鳥取民藝美術館共通)
FAX:0857-26-2399(鳥取民藝美術館共通)
Eメール:t.mingei@gmail.com
営業時間:10時~18時
休業日:水曜日(祝日の場合は翌日休業)、年末年始
駐車場なし
鳥取、島根の器文化の背景
1920年代、柳宗悦を中心に起こった「民藝運動」は、暮らしの道具に宿る“用の美”を見出す文化運動でした。
この思想は鳥取・島根の窯元にも深く根づき、いまもなお、手仕事のぬくもりを感じさせるモダンな器が作られ続けています。
その他の注目窯元
- 因州・中井窯(鳥取):鮮やかな緑と染め分けが美しい器
- 福光焼(鳥取):面取りで作り出されるシャープなフォルムが魅力
- 山根窯(鳥取):ダイナミックなスリップウェア
- 出西窯(島根):「出西ブルー」と呼ばれる青い器が人気
おわりに
気になる窯元は見つかりましたか?
お気に入りの器があると、「今日はどのお皿に盛ろうかな?」と考える時間さえ楽しくなります。
旅の思い出に。ふだん使いの一枚に。
ぜひ、鳥取・島根の器の世界を覗いてみてください。
コメント